上宮の百段



 大昔に鬼がいて、『人を喰べていいか』どうかを神に許しをこうた。大神は、『わが宮の石段百段を一夜に築いたならば許してやろう』といわれた。
 鬼は、懸命に石段を組み、朝までに百段を築こうとした。大神は、仕方なく鶏を鳴かせて、夜が明けたと告げられた。丁度99段目であった。鬼は、このため人間を喰べることが出来ず、(はる)の蛇堀の池に身を投げたという。これは、上宮、勅使門の百段にまつわる伝説である。昭和造営前の石段は大石を使い荒造りであった。
 おそらく景行天皇紀に記してある、菟狭(うさ)の川上にいた凶賊(きょうぞく)鼻垂(はなたり)の伝説が伝わったものと思われる。